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ぴよぴよ

ハードルは低く設定すること

Irisと光に舞う粒子の話

今日は日中眠くて仕方がなかった。進捗微妙。

夜に頑張らないといけない。

 

久しぶりに自分の香りに酔った。(※陶酔ではなく“ダメ”だった)

 

今日着けたのは、香料にイリスを使ったものだ。イリスをテーマにした香りにお気に入りを見つけたくて、何度かチャレンジしているけれど、しっくり来るものがない。手元にあるものを、四季や天候でローテーションしているけれど、難しい。(同じ香りでも気温や湿度で香り立ちは変わる)(新しい香水は長いこと買っていないので、手持ちにあるものをひたすら回している)

 

何故イリスにこだわるのか、と思われるかもしれない。イリスは香りフェチとして避けて通れない香料なので、少し説明してみたいと思う。

 

イリスは、アイリス・匂いアヤメが原料となっている。アイリスから採る香り、と聞くと、その花から香りを抽出すると思いがちだけれど、イリスは根茎を乾燥、粉砕させたものから採油する。根の生育から乾燥、熟成までおよそ7年もかかり、高級なものは1kgで1千万するという、高価な香料だ。なので、安価すぎるファッションフレグランスにはほとんど使われない。

 

調香師たちはこの香料がお気に入りなのか、イリスをテーマにすることが多いように思う。もちろん、高価だからといってこの香りが特別に優れているわけではない。だけどやっぱり、その道のプロなら、高価な原料をたっぷり用いて、美しい香りを作ってみたいのだと思う。

 

イリスの香りは、粉っぽい香りだ。身近なものに例えて「小麦粉のような」と表現されることがある。小麦粉と言われると急にたいしたことのない香りに思えるけれど、この粉っぽさを上手く調合すると香りに品が生まれる(はずだ。でも私は、イリスを上手く表現した香りにまだ出会っていない)。また、この香りについて、ある調合師は「柔らかな光の香り」といった。

 

粉っぽさと、光。この二つは私の中ですんなりと結びつく。光の差し込む情景を浮かべる時、それは「光線」という言葉から浮かべるような、直線的なイメージではなく、微細な粒子が空中を舞い煌めき、漂うようなイメージを持っているからだ。

 

昔話をする。

 

高校生の時、ある内気な年下の女の子が、ダイエットを始めた。彼女はそれまでお化粧をしたことがなく、服装も、いつも男の子のような格好をしていた。保健室で彼女がダイエットを始めたことを告げた時、保健室の先生がやけに喜んだ様子で「痩せたらお洒落も楽しくなるわね、スカートとか、はいてみたら?」とすすめた。「だけど、服を自分で買ったことがないから」と返す様子をみて、ついお節介で「よかったら、一緒に買い物いく?」と声を掛けた。先生はますます大げさに喜んだ。

 

その週末、彼女と買い物に出掛けた。スカート、トップス、いきなり脚を出すのはハードルが高いよね?と言って、タイツを選び、一通り揃ったところで「これ着て、お化粧してみよう」とネットカフェの個室へ入った。彼女にトイレで着替えてきてもらい、化粧ポーチを拡げ、ひとつひとつ使い方を説明しながら薄化粧を施す。(ネットカフェの個室は薄暗い。薄化粧なので特に問題なかったけれど、化粧をする場所としてはオススメしない)

 

この時の記憶があんまり美しかったので、今でも鮮明に覚えている。小声ではしゃぎながら、チーク(頬紅)をブラシに取った時、チークの粉が空に舞った。薄闇に注ぐ照明の柔らかい光の中を、微細な粒子が、キラキラ、キラキラと漂う。数秒、手を止めて二人でみとれた。次の月曜、彼女はクラスメートの男の子に「誰かと思った。とても、似合ってる」と声を掛けられた。

 

 

いつかイリスのお気に入りを見つけたい。